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STAY WITH ME 10
--- 雪花小片的物語 7 --- |
「濡れちゃいますね」
「とっくに濡れてる」
息を継ぐ合間に囁いたけど、始めから、止める気なんて無かった。
バスタブの縁と僕の肩にしがみ付いて、躯を支える。
声を押し殺そうと、僕の髪に顔を埋める。
「動けないと、苦しいですか?」
「判ってて聞くな」
濡れた衣服と僕の腕に拘束された三蔵が、詰まる息の間に、途切れがちに返事をした。
「僕も、あなたを見るだけで苦しくなることがある」
三蔵を歯で苛みながら、ジーンズの前を開けようとした。ごわつく布地は言うことを聞こうとしなかったが、手こずる間もずっと、三蔵は僕の肩にしがみついたままだった。
「うんと優しくしたかったり、酷いことをしたくなったり」
張り付くジーンズを無理矢理下げると、擦れて三蔵の腰に、薄赤い痕が付いた。腿の途中まで下着ごと下ろし、胸の桜色への刺激を止めぬまま、掌で腰を掴まえた。
「僕だけしかみたことのない貌を、もっともっと見たくなったり」
弾ね上がる三蔵のものを撫で、包み込んだ。
「嫌がることをしたくなったり」
指を滑らせ、狭い場所に差し向けると、掌が、腿から繋がる筋肉の震えを感じた。
「凶暴なくらい苦しい気分を抑えるのが、甘く感じられたり。滅茶苦茶になる」
深く挿し入れた指に、三蔵が仰け反った。
熱い雨が、三蔵を包んだ。
立ちこめる湯気に、息が出来ないくらいだった。
仰け反り、時折身を震わせて呻きを漏らす三蔵の膚の上を、雨が流れ、僕に伝う。
「……だろ?」
胸元から目を上げると、濡れた瞳が僕を捉えた。
快楽を覚えて輝く、玉石のような瞳。
「ンなの、お互い様だろ?」
肩を押し、僕の躯を引き離すと、三蔵は腰を屈めて耳元で囁いた。
「オレん中にもいるみたいだ。 ―――― 飼い慣らせない、ケモノ」
僕の耳から、首筋へ。
舌でなぞるような接吻け。
鎖骨を横に滑り、肩の付け根の突起で止まり、
「 ―――― 痛ッ!」
歯を立てた。
「出来ます……?」
何も言わずに、僕のものを掴んで、ゆっくりと腰を降ろして行く。加減をしながら、のろのろとした緊張の時間が過ぎ、やがて深い吐息を吐いた。
「三蔵、大丈夫ですか?」
「聞くなよ」
睨む人を揺すり上げると、力の強い瞳が揺らいだ。
深く舌で探り合ったり、舌先で唇を舐めたり。落ち着かない接吻けを続けながら、僕たちは繋がる場所を意識し、互いを追い上げようと揺さぶり合った。
やはり動き辛いのだと、途中三蔵は、片方の足からはジーンズを引き剥がしたが、もう片方は、脹ら脛から脱ぐのを諦めた。その姿は、酷く子供っぽかったり、コケティッシュに感じられたりもした。
誰にも聞かれないように、呻き声は全部唇で塞いだ。
自分の脚を抱えていた腕を、僕の背に回させた。
背に掛かる爪が時折きつく穿ったけれど、僕は熱い雨の下、凶暴なケモノを今は放ってもいいのだと、知っていた。