presented by さくらいのあしゃん
 X'mas Dream 

大きなスポンジと、真っ白なクリーム。
響く鼻歌は、最近よく聞くジングルベル。
一体何がそんなに楽しいのだろう?

例えば誰かの誕生日。
おめでとうといいながら笑って祝う。
知り合いならばいざ知らず、見も知らぬその相手。
何故そんな、嬉しそうにパーティーの用意をするのだろう?

「昔、教会でパーティーを毎年催すんですよ」

毎年催される質素なパーティーは。
小さなチキンと一口のケーキと。
もみの木の下に置かれた、少しのお菓子とメッセージカード。

「くだらないと思いつつも、参加したんですけど」

小さなチキン。
もっと欲しいと泣く幼い子に、あまりに五月蝿いから自分の分を。
シスターはそんな自分を見るととろけるような笑顔を浮かべて。
幸あれ、と。そう、頭を撫でた。

「どこかで、それが楽しみだったのかもしれません」

いつも悲しそうに空を見つめている子供も。
もみの木の下の、見え透いたサンタクロースのそのプレゼントを手に。
嬉しそうに、微笑んで。

「何故って…う〜ん、なんででしょう」

生クリームがたっぷり入れられたボールと。
手に持った泡だて器を持ち上げて味見をするようにぺろりと舐めて。

「今になって、あげたチキンが勿体無かったとか考えるからでしょうか」

馬鹿でしょう?
微笑みかける頬にふんわりのっかる生クリームと。
幼い子供のような、その表情が。
酷く、何故だか酷く――悲しそうで?

近寄って、肩に掌。
伸ばす指で頬のクリームを拭って、ぺろりと舐めて。
たったそれだけなのに、驚いたように目をまん丸にして。
何が起きたか理解したら途端に初心な少年のように頬を赤らめるから。

「今更欲しがんな、馬鹿が」

もみの木のお菓子はないけれど。
今は極上のあなたがいるから。




――チンッ。






X'mas Dream...







 fine 







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◆ note ◆
さくらいのあしゃんの「シンカロン」様の10萬!!カウントを踏んで、リクエストで頂きました
ほわっと柔らかい絵本の様な二人…
実は、10萬ということで思いっ切りの豪華リク、
「挿し絵をつけてください」とお願いしてあるのです
…うふ、うふ、うふふ
21世紀入ってすぐに、ゴージャスな幸運に恵まれてシアワセ噛み締めてます

のあしゃん、本当にありがとうー
ファン冥利に尽きますvvv