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「とても静かな夜です
ね」「それを堪能
してんの判ってんなら邪魔
すんじゃねェ」 三蔵は僕らから少
し離れた丘の上の大きな木
にもたれかかって煙草を吸っていた。
降るような星を眺めながら、ゆっくりと立ち昇る
紫煙を目で追いながら。果たしてこん
な夜でも物騒なこと、考えてるんでしょうね、きっと。
ロマンスの片鱗らも持ち合わせてないあなたは、それでも星明
かりに髪も瞳も飾られて冴え冴えとした輝きを見せる。
「今、コーヒーを淹れる所なんです。こんな所でひとりで黄昏るには、
勿体ないような晩ですよ」「バーボンがあったろ、まだ」「じゃ、それでもい
いですから」 僕は手を差し伸べる。あなたは何の躊躇いもなく
僕の手を取り、立ち上がる。こんな小さなコトだけでも、僕の胸には明かりが灯る。
「どうしました?」「丁度斜面の上なんだな。目線が同じ高さだ」 おや、多少は気にして
いたんですか。「同じ高さですね」 僕はまっすぐ前を見る。あなたの星を映し
た瞳を見る。どこか近くの村から教会の鐘が聞こえて来た。「僕が子供頃過ごした所でも、今日
の夜は蝋燭を灯して鐘を鳴らしました。もうロクに覚えてもいないけれど、きれいなきれいな鐘の音で
したよ…」「…聖者が生まれた夜だ」「ええ、全ての罪を負った人が生まれた夜です。信じ
てもいなかったけれど」「…それでも鐘の音は美しかったか」「…ええ」 僕は三蔵の手を取ったままで、見
つめていた。あなたも見つめ返してくれた。「今ならどれだけ長いキスをしても、首が痛くなりませんよ、きっと」
「馬鹿言うな」「馬鹿ですから」 ゆっくりと、引き寄せる。「あなたのことしか考えられないくらいに
馬鹿です」 僕はそっと唇を合わせた。抱きしめるあなたの向こう側に、明るい明るい星が見えた。「…聖者の生まれた夜
ですから
…」また、
鐘の音が
聞こえた。 










I'm dreaming of you and your dream on tonight .

















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■□ AOTGAKI □■

自分がこんなにクリスマスが好きだったとは…
しつこいくらいにクリスマスネタが続きますね…時期モノとはいえ
なにがなんでもクリスマスにこだわってますね…大掃除からの逃避か?
時期終わっちゃったらこのクリスマスネタの一群、一体どうするつもりなんだろう、自分…?