■そしてこれが、幸せな朝の風景 ■




 遠くで・・・鳥の鳴く声が聞こえる・・・。



「ん・・・」



 まだ少し薄暗い。
 ぼんやりとした意識の中。


 ゆっくりと。
 眠りの縁から浮上する。



 目を覚ました紫暗が一番最初に映したのは。


 穏やかな八戒の寝顔だった。



「いま、・・何時だ・・・?」



 壁掛け時計は五時少し前を指している。

 寝起きが良くない、しかも酷く朝に弱い自分のこと。
 我ながら珍しい時間にさっぱりと目を覚ましたものだと。
 小さく苦笑した。



「・・八戒」



 名前を呼んで見る。
 返ってきたのは静かな寝息・・・。


 自分を抱きしめたまま、穏やかな顔で眠る八戒・・・。

 こうやって八戒の寝顔を見つめるのは、凄く珍しい事だったりする。


 何時だって自分の方が先に眠りに落ち。
 何時だって相手の方が先に目を覚ますから。


 何時だってこの腕に守られて眠るから。


「綺麗・・だな」



 相手が起きていたら絶対に言えないような言葉。


『貴方は本当に綺麗ですね』


 八戒はよくそう言うけれど。



「綺麗だな・・」



 八戒の方がずっと綺麗だ。





 八戒は。
 まるで森林のような・・・。
 そんな優しさに満ちている・・・。


 そんな優しさで自分を包んでくれる・・・。





 そっと体を預けて。
 目を閉じた。






 こんな風に、穏やかな気持ちで眠って。
 こんな風に穏やかな気持ちで朝を向かえる事が出来るなんて。


 少し前なら考えられなかった。




“三蔵”の名を継いだ時から。


 経文を狙って。

“三蔵”を狙って。

 何時襲ってくるか知れない妖怪に。
 気を張って生きていたから。



 八戒と出会ってから。
 八戒に愛されてから。



 安らぎを貰った。




 温かい・・・。


 ぬくもりを貰った・・・。


「八戒・・・」


 まだ起きるには少し早いから。
 もう少し、この居心地の良い場所で眠ろうか。



 ふと。

 目をあける。


 柔らかな、唇・・・。



 引き寄せられるように。



 ゆっくり・・・。

 ゆっくりと。



 口付けた・・・。



「八戒・・・――――」



 八戒が目を覚ますのは、それから一時間後のこと。


Fin

 

 

 

 
 はい。それでは皆さんご一緒に。

「八戒さん、おきなよ・・・」(苦笑)珍しく積極的な姫なのに・・。

 かおしゃま、ごめんなさいですっっ。 姫様、と言う事で。
 三蔵様視点で書いて見て玉砕・・・(死)
 ひるめろでしか書いた事なかった三蔵様視点・・(笑)
 しかも甘いし・・・猛烈に甘いしーっ砂糖吐いたし・・・。

 次のは少しましなものを・・・
(またそうやって逃げるか、美笛・・・滝汗)
 今だスランプから抜け切れず・・・あぁ。
 あ、ちなみにこちら。神狼様にお送りした
“幸せな朝の風景”と対になってますです
(誰がどう見ても明らかだろう・・・)

 さすらいの駄文書き 冬間美笛

 


 

美笛しゃん、すうぃーとな83ありがとうございます
美笛しゃんの83リングでキリを踏んで頂きました
はふうん。ひたすら、甘くてキレイです。姫ですね……
 

 

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