◇ 子猫日記 ◇




○月 ○日(雨)

今日は雨でした。
ぼくは今日はお外に出れませんでした。
ちょっとさみしかったんだけど、ぼくのご主人の悟浄がお友達を連れてきてくれました。
悟浄は、おんなのひとと一緒に歩いていて見つけたんだと言ってました。
おんなのひとは子猫がぬれていてかわいそうだけど自分のおうちでは飼えないんだといっていたんだそうです。
それでしかたがないので悟浄がおうちに連れてきたのだそうです。
よく覚えてないけど、ぼくもそうやってこのおうちに来たような気がします。
新しいお友達はぬれてて冷たくて、ずっと寝てました。
悟浄がふかふかのタオルでふいてあげると、ちょっと目を開けました。
きれいなむらさき色でした。
でもすぐにとじてしまってがっかりしたので、起したくってちょっとなめました。
ほんとうは、たくさんなめました。
でも、起きてくれなかった。


あ、もしもしィ××ちゃん?あの猫?まだ寝てるよ。
うん。そう。ちゃーんと拭いたってェ、大丈夫。ちっこくても結構強いよ、猫。
もともとうちに住みついてる猫がさ、キョーミシンシンでさー。
お嫁さん候補連れてきてもらって嬉しいんじゃないの?増えちゃったら困るけどさ。
え?ホントォ??あれ、雄なの?
あーりゃりゃ、八戒がっかりだろーなー……。
んー?オレじゃあるまいしって、どゆことよ?
ん、じゃまたな。……解ってるってぇ。オヤスミ。


○月 ○日(曇り)

新しいお友達は、今日の朝もねむったままでした。
しょうがないので、ぼくはミルクを飲みました。
それからまたお友達のところまで行って、またなめました。
そうしたらお友達はくんくんってにおいをかぎました。
ぼくの顔についていたミルクをなめて、起きました。
やっぱり、きれいなむらさき色の目でした。
夜はぬれててぺちゃんこだった毛も、ふわふわになりました。
でも起きたら逃げちゃったので悟浄のところまで行っておしえてあげました。
悟浄はちゃんとお友達にもミルクをあげました。
明日はお友達と話せるといいです。


ふあ〜あ。なんだよ。なんだってこのオレがこんな時間に起されなくっちゃいけねーんだ。
どーして女って雨の中の子猫に弱いんだろーなー。確か八戒も、誰か女に押し付けられたんだよなあ。
こいつもすっかり居付いちまったしなー……。あれェ?なんでこいつ、ミルク飲まねえんだ?
あっ!こいつ、引っかくなよ。どーせそんな爪で引っかいてもコワクないんだから。
ほらァ!大丈夫、悪さなんかしねェよ。安心しろって……。よしよし、ちゃんと飲めよ。
おい、八戒、ちゃんと先輩として躾ろよな。


○月 ○日(曇り)

お友達は悟浄に「三蔵」とお名前をつけてもらいました。
ぼくは強そうでいいお名前だと思いました。
三蔵は今日はぼくが近くに行っても逃げませんでした。
でもまだお話できません。
悟浄が「怖い目にあったんだろ」っておんなのひととお話してました。
明日こそは話せるといいですね。


参ったね。こんなに猫缶、置いてかれちまったよ。
猫用のタオルなんてボロ布でいーのに、こんなふっかふかのヤツまで置いてかれちゃったしなあ。
もう、どっかに捨てるとか出来ねえなあ、コイツ。
まあ、いっかあ。掃除もしてくれたし、メシも作って貰えたし。今日は早く寝よ。
ん?三蔵慣れて来たのか?一緒に眠ってら。なんかお前ら、ぬくそうでいいなあ。


○月 ○日(はれ)

今日は三蔵はしつれいでした。
せっかく新しくってふかふかのタオルの上で一緒に寝てたのに、起きたら逃げ出しました。
ねむってたときにはぼくの方にすりすりしてきたりしてとってもうれしかったのに。
ぼくはおこったので三蔵をおいておそとに遊びにゆきました。
もう遊んであげません。


んー?またなんだよ、三蔵。こいつ慣れ出したらずうずうしいなあ。こら、噛み付くなって。
ナニ鳴いてんだよ。外出たいのか?違うの?八戒だったら慣れてるから安心しろよ。
明日にでも帰ってくるってェ。
おい、悪いけど戸締りして行くからな。ここにミルクあるからちゃんと飲めよ。じゃな。

あそんであげないと思ったのに、夜ついついおうちまで帰ってきてしまいました。
だって、ずっと声が聞こえたからです。
三蔵は怖くって泣いてました。
ぼくはおうちの中に入ろうと思ったのに、窓がぜんぶしまってました。
悟浄のばか。
三蔵が泣いていたので、ぼくはずっと窓わくのところにいてあげました。
三蔵もガラスの向こうがわにずっといました。
そのままねむってしまった三蔵はやっぱりかわいかったです。


○月 ○日(はれ)

やった!今日は三蔵は逃げませんでした。
ぼくがなめたら、今度は三蔵もぼくのお鼻をなめてくれました。
だから今日はふたりで毛づくろいをずっとしてました。
三蔵はいいにおいです。


お、随分仲良くなったじゃん。外出たいの?じゃ、窓だけちょっと開けとくからさ。
八戒と一緒だったら外出ても大丈夫だろ?
今日の夜は冷え込むってさ。さっさと帰って来なさいよね。
オレは帰んないかもしれないけどさ。


夜、ぼく達はおさんぽに出かけました。
三蔵はすっかりぼくとなかよしになりました。
それで、この近所の「猫道」をおしえてあげました。
三蔵はまだ小さいので、犬のいるおうちのそばはさけました。
だって怖がったらかわいそうだからです。
ゆっくりとお散歩をしていたら「ゆき」がふってきました。
はじめて見た。
とってもとってもさむくって、お鼻が痛くなりそうでした。
でも三蔵はもっとさむそうでした。
だからぼくは三蔵にすりすりしてあげましたら三蔵もすりすりをかえしてくれました。
仲良しっていいですね。
それからぼくたちはずっとゆきを見ていました。


○月 ○日(ゆき)

今日は、朝起きたらはれてました。
昨日のゆきでおそとはぜんぶまっしろでした。
なので日記の天気はゆきです。
ぼくたちはもう仲良くひとつのお皿でミルクを飲めます。
三蔵は顔にたくさんミルクがついてしまうので、ぼくはちゃんとなめてあげます。
そうすると三蔵はのどをごろごろさせてよろこびます。
ぼくもごろごろいってしまいました。
昼間、悟浄が帰ってきました。
でもなんだかがっかりしていたみたいです。
おんなのひととのお約束が出来なくなってしまったのだそうです。
ぼくは三蔵と仲良しになれたのに、悟浄はざんねんでしたね。
ぼくたちはまたおそとに遊びにゆきました。
今日はいろんなところにきれいなかざりがありました。
赤い服で、白いおひげの人がいました。
そのひとはぼくを見つけて「きみはなにかほしいものがあるかい?」ときいてきました。
ぼくは人間がお話をしてきたので、ちょっとびっくりです。
「三蔵がいるから、いいよ」と答えるとそのひとは笑いながらどこかにいってしまいました。
三蔵もびっくりしてました。
りんりんりん、と遠くから音がしてました。
いろんなところに楽しそうなひと達がたくさんいて、今日はすてきな日だなあと思いました。


なんだかなあ。
どーしてこうゆう日に予定入ってないんだ?
外なんか、真っ白な雪景色で、カンペキじゃないのよ。
しょーがねーから、いつもの酒場にでも行くかァ?
何時の間にかお前達も仲良くなって……
ほんじゃ、今日もお留守番頼むぜ、イイコだから。
……ホント、仲良くって羨ましいぜ。

………オレにもサンタさん、来ねェかなー…………




□ end □

AND MERRY XMAS !
FOR 83 LOVERS !!









《 HOME 》 《 NOVELS TOP 》



■□ あとがき □■

ぐふ♪自分が「ねこ」ネタやることがあろうは、つい今日の昼間まで思いつきもしなかったんですが…
めっさ、楽しいですねえ、コレ
モニター眺めながらにやにやしてしまいました
如何ですか?あなたも日記の片隅にでもやってみませんか?
やみつきになりそうですよ…
三蔵のお誕生日用が出遅れたことがトラウマになっているらしく(笑)今回早目のXMASネタです
みなさん、素適なXMASをお過ごし下さい