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e s
Sanzo 僕の全部
sweets どこを囓っても甘いあなたのこと
slave …溺れ込んでるからね
sexuality 強く感じる
saint 結局そういう風に感じてる
何となく数え上げてみた、あなたの名前から連想すること
別に意味のあることじゃない
単なる遊び
いかに僕の脳味噌があなたの支配下にあるかって、自分で笑ってるだけ
「チッ、ガス切れちったよ。なぁ三蔵、火ィ貸して」
「やなこった」
今夜の宿泊先である宿屋の食堂…。夕食を取り終え、一服…という、のんびりとした時間だった。
三蔵は数日ぶりに入手できた新聞を数紙取り揃えて、満足そうな仏頂面(としか言い様がないですね)で僕たちとの間に壁を作っている。右手だけが、時折新聞紙の向こう側から茶碗に伸ばされるのが見える。お茶を飲む瞬間だけ、銜え煙草を器用に茶碗を持つ指に同時に挟んでいる様だ。ちょっとお行儀悪いですよ。
悟浄はかったる気にビールを飲んでいた。そう言えば、先刻から煙草に火を付ける度、何度もジッポを鳴らしていた。
「いーじゃん。ちょっと」
新聞と茶碗で両手のふさがる三蔵は、新聞の向こう側から露骨に嫌そうな声を出した。
「面倒くさい」
「まあまあ…」
「あッ、この…」
悟浄は新聞の上半分を、べろりと折り曲げた。急なことに三蔵の蛾眉が跳ね上がった。それを気にもせずに、悟浄は自分の銜えた煙草を三蔵の煙草に近づける。
「チッ…」
三蔵はさも鬱陶しそうに顎を少し上に上げる…。僕にはその顎の角度には覚えがある。接吻けを受ける時のあなたの顎の角度。少しだけ伏せ目にして…。
僕だけのものの筈の、三蔵の顔。
煙草の先端が明るくなり、火が移る。
そのまま煙を吸い込んだ悟浄は、満足そうにそれを吹き上げる。
「さーんきゅ、三蔵サマv」
そのまま僕に向かって、にやりと笑う。
「ごっちv」
悟浄、気付きましたね。僕が心穏やかでないことに。
「……なあんか、ヘンなのお…」
悟空は不審気に僕たち三人の様子を見ている。その悟空の声に、やっと三蔵は新聞から目を上げ…僕の笑顔を見た。
「別になんでもないでしょう?悟空」
「そーそ。煙草の火を貸すなんて、よくあるコトだぜえ?な?」
「なんか、今、空気ヘンになった」
食い下がる悟空のアタマをぽんぽんと叩く悟浄は、そのまま席を立つ。
「俺、もう寝るわ」
三蔵は、妙に楽しそうなままの悟浄の後ろ姿と僕を交互に見るが、全く雰囲気の変化の理由が判っていないようだった。
「なんだよっ!アタマ叩くな!」
「悟空、痛くなかったでしょう。…そろそろ悟空も寝た方がいいんじゃないですか」
「…うん、でも…」
悟空は僕と三蔵を交互に見る。勘のいい悟空だが、「嫉妬」や、僕みたいな理不尽な「独占欲」とは、無縁なままだ。悟空の方が断然器量が大きいから、そんなものはきっと、ずっと無縁なんだろう。
「…オヤスミ」
「お休みなさい」
テーブルに取り残された感のある三蔵だけが、ひしひしと「イヤナ予感」を感じている。
「…なんだ?」
「三蔵、あなたも早く寝た方がいいですよ。明日はここを立つんでしょう?」
「…オマエ…また目が笑ってない…」
急に新聞を全部抱え込んで、席を立つ。
「オレは疲れたから寝る」
僕はわざわざ「疲れたから」と断るあなたに、可愛らしささえ感じる。
なんだか判らないなりに、逃げている。自分が無自覚にヒトを刺激するってコトにすら、気付いてないクセに。時折、小さなウサギさん並みに、逃げ足を早くする。本当に可愛らしい。
でも、逃げられるって本当に思ってるのかなあ?
もう一つ、連想した。
sadistic 時折、そんな気分にさせるあなた
「おいっ!今日はひとり部屋だろうがッ!?」
三蔵が勢いよく閉じようとしたドアの隙間に、僕は足を挟んでそのまま躯をねじ込んだのだ。
明かりを点けないままの室内に、三蔵の髪だけが月光の色に輝く。どこに逃げても、すぐに見つかっちゃいますね、それじゃ。
「オレは新聞の続きを読むんだ。邪魔するな」
「…疲れて寝るんでしょう?」
僕は三蔵を捉えた。
「ね?でも僕に少し付き合ってくださいね」
「一体オマエ…っ」
煩い唇を塞ぐ。分からず屋さんには、よおく教えてあげないと納得してもらえないんだから。しょうがないでしょう?
ゆっくり、時間をかけて接吻けると、あなたの躯の力が抜けるのが判る。
溶かす時は優しくね。これがコツ。
そうっと、優しく。ゆっくり。これ以上怖がらせないように。
あなたが何か言いだして、自分が忘れかけていたコトを思い出させないように、唇を塞いで。
そうでなければ、何も言い出せないくらいに、可愛く啼かせてしまうとか。
何も考えられないくらいに、快楽に溺れさせてしまうとか。
そっとついばむ接吻けを交わす間に、すっかりあなたの瞳は濡れてしまっている。うっすらと開いた目蓋は、震えがち。
唇を離した瞬間に、甘い甘い吐息を吐いた。
椅子に、そっと三蔵を導く。まだうっとりとしたままの顔で、でも何か物問いた気な表情。唇を塞ぎながら、座らせる。
「ね、目を瞑っていてください。僕がいいって言うまで」
僕は有無を言わさずに三蔵の目元を手で塞ぐ。そしてまた接吻ける。
「何を…」
駄目だよ、開けちゃ。約束だよ。
言いながら何度も唇を重ねると、諦めて目を瞑る。いい子になって来ましたね。
唇を序々にずらす。金糸を掻き上げながら、耳朶に。その下の窪みに。僕の吐息に震えるあなた。僕の目の前で、薄い耳朶が桜色に染まって行く。重装備で日焼けしない肌は、本当に滑らかで…時折躯のそこかしこに見つける傷跡すら、舞い散る桜の花びらのように僕には思える。きれいなあなた。
袈裟を落とし、法衣をはだけさせる。目を瞑ったままで不安なのか、細くて長い指が僕の袖を掴む。
「怖いの?」
耳元で囁くと、身震いと同時に切なく呻く。
可哀想だから、そのまま掴んでていいよ。いっそ爪を立てて。
法衣の袖が絡まる腕の、肩に軽く歯を当てる。鎖骨に繋がる辺り。どこも甘い。帯を紐解き、それも下に落とす。黒いアンダーを捲り上げる。
ほら、見つけた。僕の桜色。
僕は跪いてそこに接吻ける。舌を這わせ、ついばみ、囓ると、三蔵は僕の袖をきつく掴んで首を仰け反らせた。脚にも力がこもって、僕に強く絡む。
一度に色んなところが食べたくなっちゃうな。困った人。
こんなに力入ってたら、僕動きにくいんだけどな。嬉しいけど。
胸の桜色から、鳩尾へ。まっすぐに降りる。臍まで舌を這わせて、そのままで三蔵の顔を見ると…あーあ、お約束、破っちゃいましたね。目が合ったまま舌を動かしたら、とても可愛い悲鳴が聞こえた。
「約束、したのに。じゃあ、今度は絶対に目を開けたままでいてくださいね。全部見てないと駄目ですよ」
肩を押さえて、言いつける。至近距離で瞳を合わせて、優しい声で囁く度に困惑の色が濃くなるけれど、夜のあなたは従順。だから昼間は余計に人から指図されるのを嫌うのかな。僕の責任、あるかもね。
部屋の灯りを点けて、ドアの近くに立てかけてあった細長い姿見を三蔵の座る正面に移動する。僕は三蔵の後ろから両手を肩に掛けた。
「今度こそ、約束ですよ。自分で目を開けたんですから、全部見て。ほら、顔背けちゃ駄目ですよ。目、開けて」
片手で顎を固定して、鏡を見せる。
三蔵は自分のあられもない姿に、それこそ真っ赤になってしまう。肩口から三蔵の隣に顔を降ろして鏡越しに目を合わすと、助けを求めるような表情。まだ、駄目。
「自分のこんな姿、見るの初めて?あなたいつもこんな顔してるんですよ。目が潤んでとても綺麗。こんなに蠱惑的な姿。…恥ずかしい?」
「はっか…い。なんで…こうゆうの…ヤメッ……」
僕は三蔵の後ろに立ったままで、腕を前に滑らせる。開きかけた唇に指を食ませる。耳元で囁きながら。
よく見てね。自分の姿。あなたはこういう人なんだから。
ね、自分でよく判ってくださいね。
こんな顔も、あんな顔も、僕だけのものだって思い知ってくださいね。
途切れ途切れの悲鳴は、もう上がりっぱなしだった。
「…灯りっ…消せ…よぉ……」
暗転した世界で、月光の髪だけが打ち震われて光る。
蕩け切ったあなたは、本当に素敵。
なんてしなやかで、ふしだら。
淫らで、従順。
僕だけの。
掠れた悲鳴で限界を訴え続ける…。
「じゃあ、・・・・・・って言って」
叫び続ける…。
Shake me ! Shake me ! Shake ME !!!
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the end of SECRET SHOW !
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