| 守りたい / くろいぬ-2 |
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【アニメ設定】【ハボロイ】 『今だけはこの人を抱いていたかった』 「この頭など幾らでも下げて見せる。麾下に入る振りを見せることなどお安いものだ。目障りな若造を配下に見下す満足感を与えてやることぐらい、何でもない」 年寄りに最後の夢でも見せてやりましょうか。 まあ、向こうも手懐けられるなんてこと、思ってもないでしょうがね。 「信頼されることなど期待しちゃいないが、手足のように従順に従う振りなら平気でやってやるさ」 汚れ仕事ばっか押し付けられそうな気がしますね。 大佐の評判ガタ落ちになるよーなヤツ。 「奴らが潰しにかかって来ることは始めから判り切っている。のし上がって来る邪魔者の頭が見えてくれば、片っ端から泥靴で蹴落とすような世界だ。簡単に潰されるつもりは、こちらにも髪の毛ひと筋程もないがな」 足の引っぱり合いっスか。 そうでもなきゃあのオッサン、今のあの地位に就いてないっしょね。 「泥靴にキスくらい、幾らでもしてやるさ」 あんたのそーゆートコ好きですよ。 自尊心ばかり高い若造が屈辱感隠して地べたに這いつくばる振りとか上手なトコとか。 迫真の演技っつか。 イジメ大好きなオヤジ連中には堪らないんじゃないですか? 叩きたくなるっつか嗜虐心そそるっつか。 可愛がられそうだよなあ。 「ハボック、呑気な言い種だな。頭を下げるのは私だが、私の下で走り回るのはおまえ達だぞ」 うへえ。 戯けて素っ頓狂な声をあげると、大佐は少し笑った。 笑いながら俺の腕の中で身じろぎし、そろそろ離せと言った。 それには応えず、背中から回す腕を強くした。 ぎゅっと抱き締め、抱え込むようにして髪を撫でた。 平気なんだと繰り返すから、俺も大佐の髪を繰り返し撫で続けた。 優しさも温かさも、邪魔になってしまうかもしれないと思った。 でも今だけは。 この人を抱いていたかった。 fin. |