八戒は、ぐったりと力を脱いた三蔵を抱き上げ、ベッドに運んだ。
「お利口ですね。大人しくしていてくださいね。暑いからお着物を脱がせてあげましょうね」
経文と袈裟を丁寧に引出しに仕舞ってから、八戒は慣れた様子で三蔵の帯を解き出した。投げ出した腕を器用に袖から抜いて、三蔵の白い素肌を露わにして行く。
躯を締め付けるものがなくなって、三蔵は、ふう、と小さく吐息を就いた。
その様子を微笑ましそうに眺めていた八戒は、ブーツとジーンズをも、三蔵の躯から取り去った。
あっという間だった。
白いシーツの上に、白い裸体が無防備に曝された。
力なく開いた掌が顔の両脇に置かれ、部屋の灯りを反射する膝小僧が、軽く立てられ寄せ合わされる。
「ほうら。何てきれいなんでしょう。こんなにきれいな子は、他にいませんよ」
八戒は金糸の髪をそっと撫で、愛しげに囁く声を聞いた三蔵は、喉を撫でられた猫のような仕草を見せた。
軽く仰け反った喉から滑らかな胸元まで、流れるようなラインだった。
色素の薄い躯に、そこだけ紅を差したような胸元の飾りが、視線を引き付けた。
シーツの白とも違う、透明感のある白い躯が、目の前に美味しい果物のように、置かれている。
立てた膝の向こうには、柔らかな金の茂みと、また果実。
「 ―――― 悟浄?そっちはまだですよ」
八戒の声に我に返った。
「おい。マジでこんなことして、いいワケ?」
「よくないと思うんなら、止めたらどうです?それとも、じっとそこで見てるだけにします?」
八戒は、ベッドを回って三蔵の頭の近くに立った。
通りすがりに、俺の一物を指先で弾く。
固く主張するそれに、八戒が声をあげて笑った。
「可愛がってあげるんです。うんとうんと。それだけですよ……?」
言いながら、三蔵の手を取り、親指を唇に咥えさせる。
「赤ちゃん、ちゅぱちゅぱしてもいいですよ。今まで我慢してたんでしょう?今日は特別許してあげますから、指を吸ってもいいですよ」
三蔵は嬉しそうに目を細め、自分の親指に吸い付いた。
横を向いて反らされた首が、匂い立つようだった。
「『指吸い』ってね。赤ちゃんがお母さんの乳首に吸い付くのと、同じ快感と幸福感を与えてくれるんですって。お母さんのおっぱいに吸い付けない幼児の、代償行為なんですって。あなた方が普段吸ってる煙草も、それに近いでしょう?」
八戒が俺の顔を覗き込むので、つい貪るように見つめていた三蔵から視線を外した。
「別にィ。それに俺、どっちかっつーと、咥えて貰う方がスキだしぃ」
眉を顰めて見せたが、八戒は笑うばかりだった。
「じゃあそれも、後でね。でも今は。 ―――― さあ、あなたも、甘やかして、可愛がってあげてください」
八戒は三蔵の枕元に座り込んで、髪を撫で続けた。
時折その掌を彷徨わせ、頬や耳、首筋をくすぐって行く。
三蔵はその度、目を細める。
「ふぅん」
鼻にかかった小さな声に、吸い寄せられるように一歩三蔵に近付いた。
無心に指を吸う三蔵の、口元を指先で辿った。
そこからゆっくり、顎を通って首を降りる。
鎖骨を過ぎ、先刻から目を奪われっぱなしの淡い紅の周囲を、指先でくるりと撫でた。
ふる。
微かな身じろぎと共に、三蔵のそこがしこる。
爪の先で触れるだけ、ぎりぎり接触するだけの刺激に敏感に充血し、紅くて硬い粒になる。
三蔵がこくりと唾液を呑んだ。
今度は指の腹で粒を転がしてやると、益々それは硬くなり、身じろぎがひっきりなしに続くようになった。
「ふぅぅんっ……」
指を咥えたままの唇が、半開きになり甘い吐息を吐いた。
胸の飾りを押し潰しながら捏ね回すと、切なそうに眉を寄せて、いやいやをした。
濡れた唇から、指が外れた。
ベッドにのし掛かって、その唇にむしゃぶりついた。
熟した果実が目の前にあるのに、これ以上の我慢をする気がなくなった。
柔らかな唇は、甘噛みすると何の抵抗もなく開かれた。
舌を滑り込ませると、指にしていたように吸い付く。
こくこくと、しごくように絡んでくる三蔵の舌を、また絡め取るように追い掛けた。
八戒の声が聞こえた。
「赤ちゃんがお乳を吸うのと同じでしょう。ちゅ、ちゅ、って、吸い付いて来るでしょう」
その言葉通り、送り込む唾液を全て、小さく顔を動かしながら呑んで行く。
急にその動きが乱れた。
ちらと顔を動かして見ると、八戒の指が、三蔵の胸の飾りをきつく摘んでいた。
「んんん……」
泣きそうな表情が、すぐに蕩けたように変わる。
八戒は、摘む力を強めたり弱めたり、また転がしたりと、まるで弄んでいるように指を動かしていた。
「ああっ……ふ」
僅かに開いた唇の隙間から、声が漏れた。
八戒にあげさせられた声なのだと思うと、悔しさが募る。
唇をぴったり塞いで、八戒に弄ばれているのとは違う方の胸を、掌で覆った。
乾いて暖かな掌で、三蔵の上を撫でるように動かし探る。
性感を刺激する場所を探し、小さな反応を見逃さないよう、唇を合わせながらじっと三蔵を見つめていた。
驚くほどに三蔵は敏感だった。
二の腕や脇の、柔らかな皮膚を撫でると、必ず睫毛を震わせる。
そこから胸元に戻ると、掌を硬い突起がくすぐる。
ぴたりと動きを止めてやると、今度はじれて自分から身を捩らせる。
その間ずっと甘やかし続けた唇は、俺のすること全てを受け入れるように、差し出されたままだった。
「そろそろ起こしてあげましょうか」
八戒の声に、思わず不満の籠もる目を向けた。
「違いますよ。赤ちゃんにおやつの時間です。 ―――― さあ、目を開けて。いいものをあげますよ」
八戒が次になにを始めるのか。
急に離れた唇を不審がる三蔵を眺めながら、妙に興奮している自分を感じた。
「赤ちゃん、目を覚ましてくださいね」
八戒の言葉に、三蔵はゆっくりと目蓋を上げた。
とろんと蕩けた眼が、開いたままの唇の上にあった。
先程からエレクトしっぱなしの自分のものが、また硬度を増したようだった。
「赤ちゃんがお利口だから、悟浄がご褒美をくれますよ。甘い甘い、キャンディをくれますよ」
屈み込んで三蔵の耳元に囁きながら、八戒は悪魔のように微笑んで俺を見る。
「ねえ、キャンディあるんでしょ?」
三蔵から身を離しながら、悪戯っ子のような表情で俺を見る。
「……可愛い赤ちゃんにやるのには、でっか過ぎかもしれねえがな」
すっかり八戒にノせられてしまった自分が悔しいが、もう止めることなど考えられない。
ベッドの上に乗り上がり、膝立ちで三蔵に近付いた。
俺が三蔵の胴を跨ぐと、八戒が金色の頭の下に、枕を重ねて宛った。
力無く開かれたままの両腕のすぐ上に膝を就いて、三蔵の顔を見下ろして跨いだ。
前を開けると、すっかり勃ち上がったものが、天を向いていた。
「ちゃんと赤ちゃんの口元まで、持って行ってあげてくださいね」
煩いぞ、とヒトコト言ってやろうと思ったが、掴んで無理矢理向きを変えたものに三蔵の唇が触れた途端、そんなことなど頭から吹き飛んだ。
あぁん。
唇が開かれた時には、そんな声が聞こえて来そうだった。
それでも、柔らかな唇に、急に雄臭いものを呑み込ませるのに躊躇して、先端を触れさせるだけにする。
差し出された、濡れてふっくらした唇を、昂るもので押した。
「ん」
小さな声がして、三蔵は昂りを咥えようと更に口を大きく開いた。
それを避けて、唇の周囲を辿るように、握り込んで動かした。
ほの紅い唇から薄い舌が覗き、俺を追い掛けて来る。
唇も舌も濡れて輝いていた。
それを撫でた俺も、時折触れる舌にどんどん濡らされて行く。
「……うぅん……」
思うようにしゃぶれない三蔵が、切なげな声を出した。
「悟浄、これ以上赤ちゃんに意地悪しちゃ駄目ですよ。ほら、こんなにいい子にしてるんですから、ちゃんとお口に近付けてあげてくださいね」
言われて三蔵の表情をよく見れば、今にも泣き出しそうに眉を歪めていた。
甘いキャンディ。
すぐ側にあるのに、舐めさせて貰えない。
俺の突いた膝の脇で、三蔵の掌はきつく握られていた。
「……悪かったよ。ほら、今度は大丈夫だから、ちょっとずつ舐めな」
そうっと唇に、……突き付けた。
紅い舌がすぐに近付き、先端をぺろりと舐めた。
半ば閉ざした目蓋から、潤んだ紫色の瞳が見えたが、すぐに満足げな笑みに隠された。
舌先の熱さと感触に、ゾクリと何かが背を駆け上がった。
俺の『キャンディ』が逃げないことに、三蔵は漸く安心したようだった。
先端を濡れた舌でねぶる。
くびれまで咥え、口の中で舌を絡めて転がそうとする。
「くっ……」
喉の奥まで突き入れたくなる衝動を、抑えるのにかなりな努力が要りそうだった。
思わず自分のものを握り込んでいた手を離すと、途端にソレは天を向く。
三蔵は、今度は慌てずにそれを追い掛けてきた。
枕の上から顔を起こし、舌先を伸ばして、撫で上げてくる。
ぴちゃ。
ぴちゃ、ぴちゃ。
膨れ上がったものに鼻先を擦り付けるように近付き、舌を這わせて行く。
ぴちゃ、ぴちゃ。
無心に目を瞑って、水音を立ててしゃぶり続ける。
唾液に濡れたものが触れ、三蔵の細い鼻梁も滑らかな頬も、濡れて光った。
大人しく舌を遣い続ける三蔵の、柔らかな前髪に手を伸ばした。
髪を撫で、耳の後ろに梳かし、そのまま顎に掌を滑らせる。
掌の中の三蔵の顔は、小さく、従順に見えた。
「ね。甘いの?俺の美味しい?」
小さな頷きを掌に感じ、そのことがまた俺を追い上げた。
「甘いの、最後まで舐め尽くしましょうね。お利口さんは、お残しなんかしちゃいけませんよ」
見計らったように、八戒の声がする。
三蔵はまた、唇を開いた。
口に挿れられるのを、待っている。
濡れた舌が、迎えるように、下唇を隠して伸びて来た。
「ちゃんと、咥えさせてやるよ」
「ん、ぅンン……っ」
舌に沿って滑らせて、口の奥まで挿れてやると、ほんの少し苦しそうに眉を顰めて、それでも舌を絡めて来た。
三蔵の顎を固定して、ゆっくり抜き差しを繰り返した。
三蔵は一生懸命を絵に描いたように、口一杯に頬張って、しゃぶる水音を立て続けた。
「きれいなきれいな、いい子…だ…な」
声を掛けてやると、顔を挟んで突いていた膝に、三蔵の掌が触れてきた。
膝頭から腿にかけて、つ、と滑らせる。
息苦しいのを訴えたいのかと覗き込むと、急にぱっちりと目が開いた。
うっとりとした紫の瞳が、微笑んだのだと気付いた時に、放出した。
こくん。
呑み込んでから、三蔵は少し顔を顰めた。
「最後は甘くはなかったかもしれませんね」
膝立ちのまま後ずさってベッドから降りる俺に、八戒の笑いを堪えた声が掛けられた。
「そら、にがにがだろうよ。可哀相になあ」
そう言ってやったのに、当の三蔵は、唇の端から垂れた雫まで、きれいに舐めて呑み込んだ。
「……ほら、悟浄?」
「ああ。ちゃんと残さず、本当にいい子だったな。きれいで可愛い、いい子だ」
嬉しそうな顔に近付く。
「いい子だ。……大好き、だぜ」
微笑みを浮かべた唇を、唇で塞いだ。
唇をついばむようにしてやると、楽しいのか同じように返してくる。
顔を抱えるように片肘を突き、髪を撫でながら接吻けを続け、掌を躯に彷徨わせた。
「いい子、だ」
八戒は三蔵の足下に腰掛け、中心を掌で包んでいた。
ふたりから与えられる快楽を、素直に受け取る三蔵は、すぐに声をあげ始めた。
「……んあぁぁん。あん。……ふぅ……」
聞くだけで神経が溶け出しそうな、甘い声だった。
仔猫よりも細く、時折高い旋律を交えて。
自分の気持ちのよい場所から、少しでも指が離れて行こうとするものなら、いやいやをしながら悲しそうな声をだす。
「甘ったれだよなあ」
「そこが可愛らしいでしょう?」
横たわる三蔵の躯の上で、ふたりで目を見合わせ、笑った。
唇と掌が一度に離れ、三蔵が不安そうに辺りを見回した。
「……ごめんな」
謝りながら、三蔵の上に乗り上げた。
紅い突起を摘みながら、勃ちあがって震えている果実を、口に含んだ。
八戒は、微笑みながら、金色の髪を梳かしつけるように撫で続けていた。
ふたり掛かりで落とし込んだ躯は、どこもかしこも神経が鋭敏になっていたようだった。
咥えながら脚や脇を撫でてやる度に、口中で三蔵自身が震え、快楽を訴える声が続いた。
幾度か登り詰めさせた三蔵の、様子が少し変化して来た。
「……ふ、あぁぁん……」
触れると素直に喜んでいたのが、困ったように首を振り続ける。
開かせていた脚を、摺り合わせようとする。
「ああ。」
八戒が声を潜めた。
「おしっこ、我慢出来なくなっちゃったんですね」
小声だったのに、気の毒な程に三蔵は頬を赤らめた。
「まだ赤ちゃんだから、トイレで出来ないんですよねえ。お漏らししちゃったら大変ですね」
ふるふると震え続ける躯が、全身ばら色に染まった。
固く瞑った目元にも、涙が滲んでいるようだった。
「お漏らしで辺りを汚すなんて、とんでもないことですけど。でも、あなたは赤ちゃんだから、しょうがないんですよ」
八戒は優しく囁いた。
三蔵はまだ顔を振るい続ける。
徐々に限界が近付いて来たのか、大粒の涙がぽろぽろと零れ始めた。
「お利口な赤ちゃん。ここで出来ますか?」
摺り合わされていた三蔵の腿が、ますます固く膝を寄せ合わせた。
「どうしてですか?お粗相しちゃいけないって、ちゃあんと知ってるからですか?」
「ふぅ……っ。……えっく」
とうとう、三蔵はいやいやをしながら、泣きじゃくり始めた。
「大丈夫ですよ。お粗相しても、僕たちはあなたが大好きですからね。叱ったりなんか、絶対しませんよ」
八戒は、どうしてもここでさせるつもりらしかった。
そのつもりで、時折意地の悪い言葉を交ぜつつ、三蔵を促していた。
羞恥に染まる素肌で、三蔵はまだ首を振るい続ける。
「本当はとっても恥ずかしいことなんですけど、赤ちゃんがおしっこでお粗相しても、しょうがないですから。さあ、やってごらんなさい」
「んん……っ。やぁ……ん」
救いを求めるように、紫色の瞳が俺を見た。
泣き濡れて、睫毛の端まで涙の粒が乗っていた。
染まった躯を小刻みに振るわせ、どうしてよいのか判らずに、ただ助けてくれと泣いていた。
ぽろぽろ、ぽろぽろ。
涙が流れ続ける。
「……いやぁ、……ん」
さっきまで甘ったれてあげていた声が、余りに悲しそうに聞こえたので、躯が動いた。
固く縒り合わされていた脚の、膝にそっと掌をかけた。
紫色の瞳と、目を合わせながらゆっくりと開かせた。
「してみ。汚くないから」
ぽろぽろと、涙はまだ零れている。
「怒んないから。……恥ずかしい?」
脚の間で揺れているものの、先を舌で突っついた。
「あああっ」
「上手に出来る……?」
自分でも、その後どうすればよいのかなんて、考えてなかった。
ただ、恥ずかしがる三蔵が可愛かった。
泣き顔が可哀相だった。
三蔵のを、汚くないと言ったのは、嘘じゃなかった。
三蔵は目を瞑った。
すぅ、と息を吸った。
また躯が震えた。
先刻遂情させたばかりで、微かに痛みを感じたのか、また眉根が寄せられた。
震える果実から、透明な水が放たれた。
『お粗相』の言葉を畏れていた三蔵を思い出し、つい掌で受けた。
意外なほどに、熱かった。
ぽろぽろと零れた水と同じで、そんなに汚いものには思えなかった。
掌から溢れそうになったので、今度は口で受けた。
「すいません。見物してたらつい出し遅れました」
八戒の声に気がつくと、いつの間にかタオルが幾重も三蔵の脚の間に置かれていた。
「……あなただって、見てたじゃないですか」
「……こういうの、足下すくわれるってのかぁ?」
今立つ大地も、途端に不確か。
不安に眩暈を覚えながらも、思い出すのはほの紅く濡れた……
another country
†
index