STAY WITH ME 14 
--- 小春日和午後の紅茶的物語 2 --- 



















「三蔵」
「何だ?」
「何でもありません」












 何がそんなに嬉しいのか。
 先程飲み干したばかりのミルクティの、湯気が鼻先をかすめた時の暖かさを不意に思い出した。
 甘く甘く、くすぐる香りの。
 あれは一体、砂糖が何杯入っていたのか。
 喉に染み込んだ癖に、甘い香りがまだどこかに残っているような気がする。
 躯中満たして溢れそうなミルクティ。
 零れ出してしまいそうな。

 何かが溶け出す。
 躯の芯の冷たい岩が、日差しに溶ける氷のように、ゆっくりと。
 抱え込んだまま石化してしまうんじゃないかと、何時かは思っていた何かが、今はもう欠片のように小さく。
 冷たい。
 痛い。
 寂しい。
 悲しい。
 ここにいて欲しい。
 抱え込んだまま気付こうとしなかったものが、溶け出し姿を露わして、

 ここにいて欲しい。

 奥底に眠っていた望みを、露わにして。


 冬の太陽は遠く小さく、でも柔らかな光を投げかけ、冷たい空気を通して躯を温める。
 暖まる。
 溶け出し溢れそうな言葉が。
 甘やかされて零れそうな言葉が。



「……莫迦か」















 Stay with me ......















 終 





ナルミさんから「stayのイメージで」と頂いた三蔵の微笑みイラストから更にイメージした、三蔵お誕生日企画ショートstayでございました
微笑む三蔵がお好きな方がいらしてくれるのが嬉しくて…
お話をナルミさんに差し上げたら、八戒さん微笑イラストを頂戴して、また更に(笑)書かせて貰った短文がこちらのページです

ナルミさん、いつもきれいな三蔵様をありがとうございます


top * birthday top